世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614783
2024年12月
斎藤ジン
視点本
著者が過去の経験から得た経験則を説明し、それを今に当てはめて時流の転換点であるというストーリーを説得的に書こうとする試み
目次
はじめに  日本復活の大チャンスが到来した
新自由主義の終わりと日本の復活/カジノのオーナーはアメリカ/新たなカジノのルールに乗り遅れないために
第1章  新自由主義とは何だったのか? 
システムは「コンフィデンス・ゲーム」である
「新自由主義」の三大要素
新自由主義の「新」が意味するもの
「小さな政府」から「大きな政府」へ/米英両国で起きた「小さな政府」への大転換/ワシントン・コンセンサス/新自由主義の世界的な拡大/経済ファーストを象徴する「三銃士」
グレート・モデレーション
グローバリストとデジタリスト
属性を超越する「グローバル市民」という価値観
1990年〜
人権運動の取り組み方にも変化
FDR型 ルーズベルト の大きな政府は、レッセ・フェールの社会的経済的価値観のアップデート
cf.ファシスト型、スターリン型の大きな政府はアプデなし
レーガン・サッチャー
新自由主義も大きな政府の課題を同様にアップデート
これ以前は大きな政府が左派リベラルだがクリントンのように受け入れた
初期のフェミニズムはLGBTを「女らしくない」から排斥
変化に適応するには「時間」が必要
1世代でこれだけ変わって変化が早すぎる
スマホが現れて世界中に普及
キリスト教的価値観の衰退
司法への信頼がない
これまでも対立はあったが、それでも相手の声を聞いた。MAGAは聞かない
新自由主義の成功者はMAGAを馬鹿にしてる
バカにしないのは難しい主張はバカにしてる基素.icon
「取り残された者」たちの逆襲が始まった
MAGAはシステムの恩恵を受けられなかった人たち
「貧乏になるし、LGBTを認めろとか中絶反対すると野蛮人扱いされる泣」
分断の原因は「価値観」と「経済」
システムへの信認が崩壊した
救いはアメリカのもつ「柔軟性」
過去の同様の問題は戦争で終結した
黒人の位置付けで争って南北戦争
レッセ・フェールの後に台頭したのはヒトラー
次に来る世界観は何か?
第2章  私はいかにして新自由主義の申し子になったのか 
新自由主義のイメージを作るエピソードトーク基素.icon
バブル時代の都銀に入行
20万円の月給の同期がリターン数百円のビンゴに3万円を出した。今後のリターンが高いと信じていたからできること。
関連:1991年の投資環境
「これはまずい」
地価の恒常的上昇を前提としたスキームで、問題点を指摘しても受け入れられないし、出て行こうとするとそんなに真面目なやつにはいて欲しいと遺留された。新人が今目の前の問題を変えられるわけがないのに!
単身ワシントンへ
ヘッジファンド向けのコンサルタント業界へ飛び込む
meritocracyで能力だけが評価されたので気持ちよかった
日本は経済大国だったが金融業界にも情報があんまなかった。日経新聞を英訳するだけで商売になるようなレベル
働き始めたG7グループは勃興機のマクロヘッジファンドでは有名
ジェーン・ハートレーが社長
NYの金融トップエリートサークル
オバマに選挙資金を調達。論功行賞で中仏大使、中英大使となった
GSの共同会長のロバート・ルービンがジェーンに仕事を進めた
クリントン政権の財務長官
G7のシードマネーはジュリアンロバートソン
アランブラインダー元FRB副議長が副会長
中平元財務官が相談役
こいつらと議論した
G7の売り上げ35%が日本だった
玉石混交のカオスな時代
日本の金融危機を最初に予想
冷戦終結で経済的脅威だった日本をアメリカが潰す過程をみた
住専が7000億円の公的資金で国会が紛糾した
日本は戦後銀行をデフォルトさせたことがなく処理するシステムがなかった。たった7000億円でこれなら銀行や証券会社なら大変なことになると予想
三洋証券が破綻したとき、タイミングが来たと思った
元々銀行の内情も無理があると知っていた
ミスター円の榊原英資にはバカなこと言ってると笑われた
「梶山の発言はボーガスだ」
梶山静六官房長官が公的資金投入するという報道あり。本当ならショートポジションを解消しなければならない。
公的資金で不良債権を処理する仕組みはないのでインチキだと見抜いた
ルイス・ベーコンにも説明し、目の前ですぐに円売りが行われた。途方もない金額で青ざめた。平均年収のギフトをもらった。
ここ映画にしたら良さそうなシーン基素.icon
日本にはないニッチな仕事
マクロ投資は政治がフィールド
購買力の差を中和するのが為替の理論的な役割
政府が価格を決めると購買力は歪む
新自由主義は政府裁量を最小化して適正価格を発見させると考える
ソロスがイングランド銀行に勝ったのはこの見方が勝ったってこと
リーマン・ショックでFRBが緩和しても問題解決できず金融政策万能主義が傷ついた
政府規制が登場し、個別株にも影響
政府支援が入ったら株は上がる
政府や政策のウォッチが需要が生まれた
専門家の意見やビッグピクチャーが影響する
オブザワバトラーグループは、政府対応が問題に十分か判定する。どうなるのかわからないが、政府対応は明確化するので投資判断できる。バイサイドの秘密主義者が顧客
ホテルにたとえるなら「小規模、ラグジュアリー」
同業は1000人ぐらい。リクルートは確立していない
情報がなかった時代は終わり、情報が多すぎる。大事なのは信頼。ストーリーを描き、ストーリーがおかしいときにはなぜおかしいのかを説明できる必要がある。
人間関係に金を払う
政策・政治と金融をつなぐ架け橋
今はすごい肩書きがないと入れない世界になってる
議会関係者に電話できる関係がたくさん持ってる人とか
日本で言うと官僚
アメリカの政策秘書はストレスが強く給料がやすいのでロビーストになる。政策に影響を与えられないと価値ないのでストレス。だからそんなやつを引き抜く
シンクタンクのレポートとの違い
CなんちゃらOはシンクタンクの分厚いレポートを読む暇ない。何買えばいいのかかいてないし
シンクタンクはプロのリボルビングドア
共和党が政権を取ると共和党系のシンクタンクから政府機関に入り、民主党系がシンクタンクに行く
シンクタンクのレポートは同僚向けにかかれてる
骨太の方針みたいなものでわかる人にしかわからない
投資銀行や証券会社のレポートとの違い
バイサイドとセルサイド
投資銀行の運用グループは分けられているはずだが、マッチポンプにみえることがある
うちは運用してない。コンサルフィーだけ。
「ヘッジファンド」とは?
ファミリーオフィス
オーナーは“絶対的権力者”
狭い社会
スイスの城に住む
オーナーたちの意外な“共通点”
変なやつが多い
ADHD、コミュニケーションが苦手
ワーカホリック
勝負が多分好き。アドレナリン中毒。勝負をしないとたりない。コンプレックス。なんでも買えるから、金じゃない。
自己実現は
トランスジェンダーを受け入れてくれたアメリカ
性自認は女性だが、ミニスカートやピンヒールを履きたいわけではない。そう言うモデルは渡米した段階ではまだなかった。
ヘッジファンド関係者は受容した
特殊なスキルもちは特殊なひとと言うコンセンサスがある?
日本の顧客や当局者にカミングアウトするのは一番最後だったが、反応は同じだった
新自由主義の一番美しい側面はこれだと著者は思っている
自己責任だが、何をしてもいい
ソロス・ファンドを大儲けさせた「予測」
システムが歪んだときにアービトラージ
「ビスビュー」対「フェドビュー」
ビスビュー:金融政策は物価安定に限定され、最低限でなければならない
放漫財政をゆるさない
歴代続いた見方
三重野康のバブル潰し
速水優
福井俊彦
白川方明
フェドビュー
必要なら金融緩和もする
バーナンキはリーマンショックで実践
バーナンキで円高株安になり日本経済がボロボロになった
安倍はこれをみていた
2012年にはビスビューが死ぬことは見えていた。白川は2013任期切れ。衆院選の公約をみたら野党も与党も日銀の金融政策の積極活用をとなえていたので、著者は世界観の終戦を確信した。
しかし日本のアナリストはパースペクティブにこだわった。世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ#6868a7c40000000000479197と同じ
白川日銀はアメリカの緩和で通貨安追求で近隣窮乏化をしたのは大恐慌後の30年と同じだし超大国としての義務がないと怒った
カジノのオーナーは強い
白川は立派だが政治と社会はもっとだらしなくてよい
アベノミクストレードを推奨できたのはシステム崩壊がわかったから
日本人では三井の高橋副頭取がはじめてうごいた
安倍と仲良し
George Sorosはマイクロマネージャー
日本の常識は世界の非常識?
次の変化がやってくる
1931年に太平洋戦争に巻き込まれると予想できた人はいない
1993年にショートをしたものの30年も失われると思わなかった
新自由主義がかわるので準備しろ
第3章  「失われた30年」の本質 
日本が直面する「三度目の大転換」
1930 自由放任主義から大きな政府へ
大恐慌
1980 大きな政府から小さな政府へ
Ronald Reagan
今
下駄をはかせてもらった高度成長
1930年代、アメリカは日本を締め付けた
植民地拡大が脅威だった
対米海戦へ
ソ連と戦うことになり日本は好待遇に
輸入はしょぼかった
風向きが変わり始めた1980年代
日米繊維摩擦も鉄鋼もまぁしゃーないかって感じだった
半導体やロケットで競争が大きくなったが第二次冷戦だったのと中曽根とレーガンの関係も良かった。
冷戦が終わりかけて日本脅威論が優勢に
1980半ばのアメリカは豊かで、日本のメディアで言われている斜陽とは思えなかった
日本叩きの中で1930年代と比較をし始めた
冷戦後に失った有利なゲームのルール
冷戦に勝利したアメリカの矛先が日本に向いた
プラザ合意
日米構造協議で日本の強みを叩く
半導体は事実上生産拠点を海外に移すしかない
アメリカはそもそも日本経済を破壊するためにやってるんだから、要求を飲んでもゴールを動かして要求を拡大していく
露骨で悪質な日本封じ制作
米大統領からの「日本はこの銀行を潰せ」
クリントンの日本潰し
戦後経済システムが新自由主義じゃなかったのでクリントン政権は大蔵省に「この銀行潰せ」リストを送った
o3.icon
クリントン政権(特にルービン財務長官とサマーズ副長官)は、「日本の不健全な銀行は整理しろ」と1997-98年に強い圧力をかけた。その結果、LTCB や NCB などが実際に国有化・清算された。
「この銀行を潰せ」という紙のリストは公開されていないが、当時の証言・学術論文・政府文書を突き合わせると“リストが存在した”と推測するには十分な状況証拠が集まる。
https://gyazo.com/8d1ee9b6dab15d5b94c6960170b115db
詳しく調べたい場合は、上記文献+米議会・日本金融再生委の記録を追うと、さらに一次資料に近づける。
財務省幹部「金融危機の原因の銀行処理のしくみがないのは気づかなかった」
アメリカから潰せと言われたから潰したら信用危機が起きた
つぶせとせまった Lawrence Summersは金融危機を波及させるなと手のひらを返した
アメリカは
護送船団方式にいらいらしていた
アメリカにとっては人ごとなので深く考えてなかった
リーマンショックを引き起こしてるのが間接的証明
破綻したら市場が適正価格を発見されて解決する…ことはなく信用不安が連鎖した
日本をバカにしていたアメリカもノンバンク金融機間の公的資金投入の枠組みがなかった。が、1ヶ月で法案を通して資金をぶち込んだ
ルービン財務長官がGS OBで金融機関のロビー活動
「古いゲーム」に長けていた日本への敵意
アメリカが態度を変える「二つの条件」
1. アメリカの経済政策の統治観がかわる
2. アメリカのGDPの半分ぐらいになる
中国はもう満たしてる
アメリカのGDPの30%ぐらいで圧をかけてくる
例日米繊維摩擦
50%ぐらいで猛烈に叩いてくる
コンピュータに100%の懲罰的関税
日米半導体協定 1987
NEC、日立、富士通の締め上げ、スパイ容疑で逮捕
中国の場合
2000年代後半30%を超えていたがオバマ政権で台中寛容。
2014 南シナ海の人工島建設で徐々に競争アプローチへ
TPPで中国の独自ルールをふせぐ
「雇用」を切り捨てられなかった日本
日本は雇用を守る代わりに低成長を受け入れた
失業率15%を受け入れて企業を身軽にすれば成長企業に人がまわった
東大法学部ばかりの男の政府には難しかったかな???
雇用調整政策を財政プロセスで徹底的に支える選択肢があった
当時の政府長期債務残高300兆円。いま1100兆円。
リーマンショック前は550兆円。250兆円は金融危機の対応にダラダラ使ったことになる
100兆円の基金をつくって失業者の生活維持、リスキリングをした方が安かった
労働力人口6000万人、失業率10%で600万人、一人当たり500万円配って30兆円。次の3年間に集中して雇用の再調整する方法もあった
日本は余裕があったので雇用を守った
韓国は余裕がなかったので雇用を守れなかったので、新自由主義の荒波にのまれた。構造改革を対価にIMFマネーを入れた。財閥改革や外資の規制緩和をしてアメリカに望ましい形になった
この辺りは後出しジャンケンを感じた。当時主張していたのだろうか?基素.icon
戦後の奇跡が災いに
このシステムはかなりうまくいった
冷戦という状況を前提として
かじ取りは官主導
大蔵省 政府と民間の金を管理
通産省 海外状況を調べ、どの産業なら勝てるか決める
よく働く国民
安定と維持のシステムをつくった
年功序列
株式持ち合い
これらは競争の抑制の裏返しなので、下駄がある前提ではうまくいくが、競争的になれば厳しい
選択と集中するが、日本にはできなかった
雇用システムとセーフティネットがないからね基素.icon
「リストラは恥」と考えた日本人
人を切らずに全員が痛み分けすると、事業の損切りが済んでいない状態になるので、成長局面に入れない。毎年理想よりinput priceが下落して、output priceも下落する。デフレの原因
不良債権問題は小泉純一郎と竹中平蔵が解決したが、マスコミやインテリは二極化させる新自由主義に批判的だった。非正規雇用が増えたと非難された。
確かにこういう論調で語られることが多い気がする基素.icon
マクロ経済からみればこの批判は感情論。
貧しくなった村で口減しで姥捨てをするのか、全員痩せ細るのかと言う選択。姥捨が正解
豊かな村なら全員食べ物が少し減っても当分死なないし、来年に期待もある。これが不良債権問題が長期化する理由。凶作がずっと続いた。
2000年代半ばから国内設備投資から海外直接投資へのシフトがおきた。稼げる村に金が流れた
たかが首きりが「人生の敗者」と言う価値観がうまれてしまったので批判が正当に感じるひとがおおかった
正規雇用の勝ち組は守備に徹するメリットが生まれた
デフレなのに賃上げされる
しかし日本は新自由主義的な経済政策など採用していない
悲惨な平等な分配をした
夢と消えた経済成長の期待
資産評価に手心を加え、護送船団で時間を稼いで経済回復で不良債権を返すアプローチをしたが、アメリカが日本を潰す気MAXだったので経済は回復する見込みは少なかった
キャッシュフローの見積もりがどんどん悪化して、不良債権がどんどん増えた。
デフレを自ら選んだ日本人
日本は雇用を守る代わりに低成長を受け入れた
経済効率を犠牲にして雇用を守ったらデフレになる
経済効率を犠牲にすれば成長見積もりも落ちるのでデフレを加速する
政治家が「補助金でゾンビ企業を維持してる」のは雇用を守るためであり、それは国民に選ばれた国会議員が正しく仕事をしてるだけ
デフレの要因
不良債権処理を遅らせた
不採算部門をカットせずに、みんなで貧しくなる選択をした基素.icon
地方の中小企業のほとんどが法人税0
日銀も0金利
人口動態の悪化は局面によってデフレ要因にもインフレ要因にもなる
デフレ要因になるのは将来の成長見積りを悪化する場合
日本は成長を捨てたのでデフレ圧力
第4章  中国は投資対象ではなくなった 
ワシントンから中国が消えた
アメリカで中国人とロビイストを繋ぐ方がレピュテーションリスクを気にして金を積まれてもやらなくなった
共産党のカウンターパートで中国語でのやり取りが必須になった
仕事がなくなった中国投資担当者
3年前まで楽観的だった米投資家
完全に外れたアメリカの目論見
“中国にいいとこどりされた”という後悔
トランプの対中政策
日本を潰したのと同様に中国を潰すノートブックがまとまっている
まず通商から入る
次に体制転換をさせる
共産党は飲めないので蹴る
華為の輸入禁止 Huaweiへの制裁(2020年7月) はwto違反だが、これができるのはアメリカはカジノのオーナーだから。奴らはルールを好きなように変える
トランプ政権第一期でも対中戦略はあった。機密解除された文章に書いてある。ワシントン主流派がまとめている。たぶん制作立案者が意地で解除した。ただ、トランプはこう言う戦略を粛々と実行する自己規律がないのでまともな戦略に聞こえなかった。
マクマスターはバノンを追い出した
安倍政権の谷内正太郎とH.R. McMasterは緊密
マクマスター・ポッティンジャーの戦略をバイデンも踏襲した。民主党と共和党が変わっても大きなアプローチに差は出ない
アメリカ人が考える「勝算」
人口動態
高齢化のペースが早い
名目GDPが低い
社会保障が不十分で、高齢者対策に金がかかる
技術革新
締め出して
トランプはアメリカの柔軟性。膿がたまらない。南北戦争を経て成文憲法が200年続いてる国はない。ただしこの見方は著者の人生観による。
悪化するアメリカ人の対中イメージ
ワシントンのコンセンサスが中国叩き
トランプが(bytedanceから献金を受けていたので)tiktok買収orアプリ禁止法案(2024)に反対したが共和党民主党も賛成した
=共和党に影響力を持つトランプでも抑えられない
「ゴールポストを動かすな」と怒る中国人
中国人は仲良くやってたから、アメリカからなんで殴られるのかわかってない
サプライチェーンの再構築(=中国外し)へ
サプライチェーンの再構築に露骨に政府介入している
ワシントンコンセンサスで忌み嫌われた政府主導の産業政策をやってる
TSMCの補助金を同盟国政府間で、誰がどの程度生産するのか?どう補完するか協議されてる
米中関係に関する三つのシナリオ
覇権国家との関係
1. 戦争
真珠湾攻撃
2. 覇権国が新興国に座を渡す
第一次世界大戦後にイギリスがアメリカに譲った
新興国が覇権国にひざまづく
1990年代、日本は経済弱体化要求を飲んで経済拠点を海外に移転してアメリカに跪いた
3. 冷戦
3がデフォルトのシナリオ。米中冷戦
1と2だと1のほうが可能性ある。中国の台湾侵攻
Davidson window
日本の経験
アメリカは、一度ある国を覇権を脅かす国と認識すると、相手が潰れるまで攻撃の手を緩めないが著者のアメリカ観
1930,1980s
自らの命運と国家の命運を同一視すると破滅に向かう
日本の軍部は同一視したので負け戦をやった
日本ではアメリカに跪いた結果低成長になり自民党の支持が落ちただけでクーデターは起きなかった
共産党はいま習近平体制が共産党体制と同一視されている
「弱い中国は危険な中国」
格差が広がり、民間が政府より強くなったら民間を叩き始めた。ジャック・マーが消えた。民間の学習塾も閉鎖。マンパワーを国営企業につけかえている。
ハイテク産業を過剰生産しても不動産の雇用はうめられなくて社会不安になる
中国の失業率
大卒1000万人。新卒の半分に仕事が見つからない。毎年200万人の失業者が出る。いかれる若者をこれだけ吸収できるのは?そう、軍と戦争だね
抑止力向上の必要性
台湾有事でインド太平洋の米軍は中国に負けるシミュレーションあり
ミサイル配備が多いので第一列島線の内側に入れない
日本は沖縄の南西諸島に中国に到達するミサイルを配備する
A2/AD展開
https://www.mod.go.jp/asdf/meguro/center/img/101kenkyu4.pdf
ロシアに先に使われた「対中兵器」
SWIFT(金融)締め出しがスムーズにいったのはG7で中国締め出しの模擬演習をしてたから
人民元の国債決済比率な5%、外貨準備高は2%。
ドル決済から中国を締め出す準備はあるらしい
米中対立(2021〜)
第5章  強い日本の復活 
不可逆的な脱デフレ
2021年に初めて唱えたのは著者
FRBもIMFも間違えた
前提が違う
グローバリズムの終焉
ワシントン・コンセンサスが眉を顰める政府介入の日常化
なのに低インフレの基調には変化なしだと思ってる
アメリカの物価基調が変わることに気付くのが遅かった
前提が変わった
アメリカの地政学的配慮から日本は伸びる
人工現行はインフレ圧力になる
ゾンビ社員の消滅と人手不足
名目6%で給与を設定したのに0%になったので不良ゾンビ社員となったが、退職した
人手不足時代に突入
小泉時代から非正規を使う動きになった
雇用は維持するが苦肉の策で非正規を使うようになった
本当の新自由主義なら雇用を減らし、失業率はもっと上がった
職のある世代が雇用維持を始めたのが問題
労働人口は絶対数は減る
ルイスの転換点
労働力が不足すれば価格は上がる
人口が減ると、消費も不動産も下がる。成長見通しが低くなるので物価も下がる。中国と同じ
このロジックは間違っていないが、人口動態が悪化してもインフレになることがある。
2021-22アメリカ。ベビーブーマーが退職。労働者不足が深刻になりインフレになる
黒死病流行った後の賃金は大幅上昇
いらない人材供給があるパターン
ゾンビ社員を雇用し、労働コストを抑えるために氷河期世代を非正規雇用する
企業は安価な労働力が欲しいので主婦を入れるようになった
しかし生産労働人口の就業者が70から80%に上昇したので、ルイスの転換点を迎えると考えた
アベノミクス以降、正規雇用の伸びが非正規雇用を上回った
あとは賃金上昇が達成すればデフレは終わる
トリガーは何?
1990年金融危機の前、アベノミクストレードの前と同じでトリガー待ちだった
コロナのサプライチェーン混乱、ロシアのウクライナ侵攻でデフレ脱却を確信した
なぜ?基素.icon
2023年ベア復活
ベアは労働コスト押し上げ。1990年代後半の金融危機からずっと0だった
新自由主義の終焉と日本の復活
経済から地政学へ
対中のアメリカは強い日本を望まざるを得ない
先端技術の分野でアジア太平洋地域のコアにするという方針が明確にある
DC投資
Google 1000億円
Amazon 2兆円
MS 4400億円
Oracle 1.2兆円
再び「勝てる席」へ座らされた日本
過去にすわらされたときは…
イギリスが帝政ロシアに対応するため
韓国併合、満州
冷戦でアメリカがロシアに対応するため
経済安全保障で政府が介入する世界になったのでJITは効率的なサプライチェーンではない。Just In Caseが要求される
2021年以降対外直接投資は横ばい。国内投資を再開した。
「政財官の癒着」が武器になる!?
「政治家が一番よく知っている」時代へ。しかしEVは失敗
EUは後ろ向きの決定ができない
政治介入が円滑に行える国が強い。それは日本。
生産性の低さが「のびしろ」となる
中小企業が雇用の7割だが、ここが効率化してないが日本。
アメリカの6がけなのでのびしろある
magnificent7の不在はデフレと関係ない
たいした雇用をうまないし、税金を払わない
ルイスの転換点を超えたので、既存雇用を守るという重要性が低下して、政治家も経営者も気兼ねなく人を切れるようになりつつある
失業問題を起こさずに労働調整ができる環境
「分断・対立」を免れた日本社会
高所得者層もいなくなってるから、比較的格差は小さい
皆で痩せ細ってきた
「日本の経済格差は広がっていない。等しく貧しくなっている」
こっから構造的に若者の給料は上がる。統計にも出てる。
ルイスの転換点を超えたので、ホワイト化しないと生き残れない
IT化を進めずに、余ってる社員をつか立てたけどそんな余裕なくなる
順風と逆風の違い
第6章  新しい世界にどう備えるか 
ヘッジファンドはこの変化をどう見ているか
分配がうまくいかなかったので啓蒙的な新自由主義が終わり、介入に集中。市場合理性や金融政策以外が価格決定に絡むようになった
パーフェクトエコノミーから遠ざかることになるから、世界経済そのものは敗者になる。相対的な勝者さがしになる
日本は相対的勝者になる
EUはこの先、かなり苦しい局面が続く
金持ちの国から貧乏の国に移転するような財政統合のような問題が放置されがち
歴史が浅いので、国家観がある市民からすると偽善者に見える
実際ナショナリズムが流行ってる
逆風が吹いてる
戦争が起きない前提でロシアのエネルギーを前提に中国需要をとりにいったが、目論見が外れてる
結局アメリカは強い
ダークサイドを見ることができる
式年遷宮
https://www.dir.co.jp/report/column/20160406_010798.html
人口動態がまずかったらメキシコ国境をゆるめればいい
労働コストは最大のinput priceだから、賃金の伸び率が安定して物価が安定する
アメリカは移民排斥をなん度もやったが、結局移民の国。DNAとしてデフォルトは移民受け入れ
経済と価値観
白人層の出生率は1半ば。ヒスパニックの方が多いので長期的にはヒスパニックを入れるだろう
オバマの不法移民強制送還の平均値はトランプを上回る。バイデンはトランプと同じぐらい
2025年6月時点だと?基素.icon
合法的な移民制度を進めるならトランプの方が受け入れやすい
民主党は信任されない
反共のニクソンが北京と国交正常化した
アメリカは整合性をとらない国なので強い
中国とロシア
アメリカがどう動くのかから考える
マクマスター・ポッティンジャー戦略ならマラソンをして潰れるのを待つ
キッシンジャーのようにロシアと妥協して中国に先進する
ソ連とデタントして台湾と尖閣諸島を北京に売って仲違いさせた
日本と台湾が負けた
ロシアのメンツを立ててウクライナを集結させる
ウクライナとEUが負ける
著者はこれをやると予想
日本のリスク
中国がEUとアメリカを分断。EUがアメリカと協力しなくなり、アメリカは日本を矢面に立たせる
インドに与えられた「特別な地位」
アメリカの庇護下でインドが成長する
モディはプーチンとなかよしだが許されている
アメリカやカナダで反モディのシーク教をインド政府が暗殺しているがお咎めなし
インドはチャンスを活かせるかわからない
独自の法体系やビジネスルールの克服が例えば必要
チャンスを活かすか、傍観するか
明らかに大きな政府に振り子は揺れている
どうなるかはわからん
考えて、修正して、腹落ちするポジションを取れ
日本のなすべきこと
30年のワシントン生活の中で最も岸田の評価は高い
アメリカにとって日米同盟の最大の価値は
インド・太平洋における米軍の展開拠点
岸田がやったこと
防衛増税
反撃能力の保有
日米韓関係の再構築
自衛隊をアメリカ軍と一緒に戦う軍隊にするという意思表明
2024年秋に連立与党が過半数を割り込んだので美味しいポジションを取るのが難しくなるのでチャンスをいかせない
ゾンビ企業抹殺
賃金設定メカニズムが行うので政府が手を汚す必要はない
トラックドライバー問題は価格転換しなかった会社をさらしたし、賃上げを推進
非効率な孫請け下請け構造はできなくなる
日銀の金融政策正常化(利上げ)で金利が払えない企業が潰れる
企業は全体で見れば貯蓄超過だから経済もおかしくならない
家計も貯蓄超過だから高金利はマクロではよいこと
貯蓄から投資の流れは?基素.icon
公務員がファットだから民間に移動させる必要あり
育成就労制度は移民受け入れへの道
最終的には受け入れなければならなくなる
市場メカニズムは敵ではなく、味方になる
日本は一周遅れでこれができるようになる
競争力のある企業への人の流入
官の縮小
外国人労働者を増やす
家計の1000兆円のうち1/2が4%リターンでも名目GDPの3.3%。インフレ率2%としても実質2%で10兆円のリターン
政権与党が脆弱なのが強い懸念
個人としてなすべきこと
順風が吹くのでリスクが取りやすい
基素.icon
著者はなぜこの本を書いたの?
from 2025-06-27
世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ
Audibleにきた
ナレーションはなんと合成音声。有償サービスでもこういうパターンもあるのか。
https://gyazo.com/8c478773abf5a32b0ea3612e9f16ca5a
聞くには十分だけどまだ人間の方が上手い。実用書でなければ体験は悪くなる(これは実用書なので問題ない)
既存システムを壊すのがトランプ支持者の欲望
新自由主義への不信任
その後なんか知らないし、明確なビジョンはない
ナチスが台頭する前のドイツ国民の感情「この苦しみから解放してくれ」と同じ
紙幣が価値があるのはコンフィデンスがあるから。これが揺らぐとシステムは変わる
共同幻想基素.icon
本書では新自由主義をルーズに使う